私は今、朝顔を育てている。
弟から種をもらったのが切っ掛けだが、「江戸風情」という品種で、
写真を見ると、ゆかたの柄のような上品で粋な感じの花が咲くそうである。
毎朝、見るたびに蔓を伸ばして棒に巻き付いて成長しており、物言わぬ植物だけに、
余計に雄弁に世話の礼を言われているようで愛おしくなる。
朝顔は小学校以来、五十数年ぶりである。
 
私は用事があり出席できなかったのだが、先日開催された小学校六年生の同窓会の写真が届いた。
皆うっすらと面影が残っているようであり。私の気持ちは一瞬にして五十年超の時を遡った。
本当に五十年以上の時間が経ったのか？
何か「偉大な力」によって、時が経過したという記憶が私の頭に埋め込まれているだけで、本当は…。
病気にも病院にも全く縁のなかった私が、六十五歳になって、
この病院にお世話になることとなったのも、導かれているのかもしれない。
昨年末から両親を続けて亡くし、毎日仏壇という「小宇宙」に向かっていると
ふとそんな事を考えたりするのである。
 
帰宅後に、水遣りとTVドラマ「水戸黄門」を見るのが、今の日課である。
雨や蒸し暑さには閉口であるが、江戸の風情を漂わせた五十数年ぶりの朝顔の花が
いつ咲くのか、楽しみな毎日である。
 

用度　F